世界中で調査されている「お母さんにやさしい国」は、15項目の調査対象項目があり、その結果から選ばれています。
日本で母親になるための生活環境は、世界と比べてどう評価されているのでしょうか?
アメリカでは、出産のタイミングで母親の死亡率や幼少時の子どもの死亡率が、他の国に比べて高く昔から問題となっています。
子どもの権利保護を目標とするセーブ・ザ・チルドレン(国際援助団体:NGO)が、「母親になるのに最も適している国は、どこなのか?」を調査することを目的に開始されました。
それから「セーブ・ザ・チルドレン」が、毎年お母さんにやさしい国をランク付けして「母親指標~お母さんにやさしい国ランキング~ (Mother’s Index)」を発表しています。
2017年ランキングは14回目を迎え、2016年の178ヶ国を対象に母親と子どもの状況が分析され、発表されました。
ランキング上位の10ヶ国の特徴は、福祉が充実していて、教育にも力が入っている国が連ねています。また、これらの国の多くは、出産手当の給付の援助金が受け取れる点も順位に影響を与えていると考えられます。
気になるのはベスト10には、オーストラリア以外すべて北欧です。アジアや南米、アフリカからは1ヶ国も入っていません。
ワースト10には、西および中央アフリカ諸国が10ヶ国中9ヶ国を占めています。そのうちの6ヶ国では現在進行形で深刻な人道危機の事態に直面していて、これらの国々で母親と子どもが置かれている状況は悲惨を極めています。
ワーストランキング10ヶ国は、食料不足が大きな問題となっている国が多いです。また出産や育児を行う環境が十分に整ってないため、出産時の母体や赤ちゃんへのリスクが非常に高くなっていることが原因として考えられます。
169.コートジボアール
170.チャド
171.ナイジェリア
172.シエラレオネ
173.中央アフリカ共和国
174.ギニアビサウ
175.マリ
176.ニジェール
177.コンゴ民主共和国
178.ニジェール
日本は2016年から一つ順位を下げて32位。今年も先進7ヶ国(アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・日本・カナダ・イタリア)の中で、最も低い順位です。
日本のランキングが伸び悩んでいる理由は、女性の政治参加への指標が低いためです。その他(保健・栄養、教育、経済)の4指標項目では、上位の国々と同じ評価を得ています。
日本の女性議員の2017年の割合は2016年の11.3%よりも更に少ない10.8%で、ランキングトップのフィンランドの42.5%から大きな開きがあります。またランキング最下位ソマリアの13.8%よりも低い数字となっていて、同指標は日本の深刻な問題です。
先進国の一つであるアメリカは、日本を一つ上の31位で、日本とは違う問題を抱えています。
それは15歳未満の女子が妊娠に関連した原因によって死亡する割合がより危険な状態になっていることです。2000年の3,700人中1人から今年は2400人中1人となり、極めてそのリスクが高まりつつあり、発展途上国のイランやルーマニアと同水準になっています。
*1「母親指標」…1~15の全体を中心に比較
*2「女性指標…主に上記指標の1~8を中心に比較
*3「子ども指標」…主に上記指標の9~15を中心に比較