妊娠が分かったら、まず始めたいのが産婦人科選びです。「出産はどこで行っても一緒なのでは?」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、施設によって設備や方針、雰囲気などが全然違います。
産婦人科は、妊娠初期から出産、出産後のサポートまで長い期間お世話になる場所です。そのため自分の価値観に合った産婦人科を見つけられるかどうかが、その間の「幸福感」や「満足感」に直結してきます。
あとで後悔しないためにも、時間がある場合は、産婦人科選びの下調べを入念に行っておきたいです。
また人気の施設の場合は、妊娠初期段階で分娩予約をする人が多く、すぐに予約がいっぱいになってしまう傾向があります。人気施設で出産を希望するのであれば、妊娠がわかったらできるだけ早めに動き始める必要があるのが現状です。
大学病院や総合病院は、産婦人科以外にも沢山の診療科を兼ね備えている病院です。病床数やスタッフの数が多く、最新の医療機器があり設備面でも充実しています。
病院によっては母体・胎児集中治療室(MFICU)や新生児集中治療室(NICU)があるため、緊急時の対応が母子ともにすぐできます。
個人病院やクリニックは、産科のみを扱っている単科の施設です。病院とクリニックの違いは病床数が20床以上あると「病院」、20床未満だと「医院」や「クリニック」と呼びます。
産婦人科専門の施設は、施設ごとに分娩方針が異なっていることが多く、強いこだわりを持って経営されていることが多いです。また医師は、院長先生1人だけのところも多いです。
助産師が開業している施設を助産院と呼びます。病床数は10床以下と小規模で、自宅のような環境で出産することができます。助産院には入院施設を持つ助産院と、入院施設がなく出張専門の助産院の2種類があります。
助産院の大きな特徴は、医師がいないことです。医療の力を借りずに自然に出産することを目的とした施設なので、助産院で出産できるのは経過が順調な妊婦さんに限られます。
助産院で出産できるための条件は他の施設と比べると厳しいため、助産院で出産を検討されている方は事前に確認をする必要があります。
初めての出産で精神的に不安定な場合、上の子がいて子どもの世話が大変ななどの場合は、里帰り出産の選択肢もあります。里帰り出産の場合は、「普段の妊婦健診で通う施設」と「里帰り先で出産をする施設」の2箇所で診察を受ける必要があります。
また里帰り出産は、妊娠20週頃までに分娩予約が必要なところが多いです。そのため里帰り出産を検討している際は、出産する施設を早めにおさえる必要があります。
産婦人科の立地は、自宅から通いやすいのがベストです。多少産婦人科までの距離が遠くても、自分が気に入った産婦人科で生みたいという気持ちもあるかもしれません。しかし妊婦健診のときには頑張って通えても、陣痛がきているときの移動は…想像以上に大変です。
もし出産のとき万が一のことがあったら、大変です。あらゆることを想定し、産婦人科はどんなに遠くても1時間以内で通えるところを選びましょう。経産婦さんであれば、もう少し近い方が安心です。
産婦人科は施設ごとに分娩方針が異なることが多く、産院ごとにある程度は決まっています。もし希望している分娩方法がある場合は、それがその施設でできるかについて、HPなどで確認しておきましょう。
また最近は無痛分娩が人気になっていますが、無痛分娩に対応している施設は、現状未だ限られています。希望している際は、その点についても確認が必要です。
LDR | 陣痛から分娩、回復まですべて同じ部屋でおこなう出産方法 |
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ソフロロジー式分娩 | 妊娠中からイメージトレーニングをおこない出産を前向きにとらえる方法 |
無痛分娩 | 麻酔を使用して痛みをおさえる方法 |
アクティブバース | 医療機器に管理されず、妊婦さんの楽な体勢でリラックスして分娩する方法 |
水中出産 | ぬるめのお湯につかり分娩する方法 |
施設の方針によって「母子同室」か「母子別室」かが、決まっている場合があります。出産後は赤ちゃんと同じ部屋で過ごすのか、それとも別々の部屋で過ごすのかは確認しておくと、あとで「私の子は今どこにいるの?」なんて不安を抱えることはないでしょう。
出産後「母子同室にしたい」などの希望があるようであれば、事前に施設に確認しておくようにしましょう。
とはいえ、出産する前は母子同室で頑張りたいと考えていても、いざ出産すると想像以上に疲れてしまい、赤ちゃんを預かってもらいたいというパターンもあるかもしれません。母子同室を希望する人は、どちらのパターンとも対応しているかを確認しておきましょう。
産婦人科では、立ち会い出産ができないところがあります。立ち合い出産ができない施設の理由としては、衛生面を考えているためとのことだったりします。立ち合いができる施設でも、条件が付いているところが多く、事前に確認しておきましょう。
*両親学級は出産を控えた夫婦を対象として、出産から子育てについてのアドバイスや体験学習ができたりする場
施設設備は、病院やクリニックなどによって大きく違います。分娩室や水回りの設備の良し悪しは、安全な出産につながりやすいです。
施設の設備が新しいか古いかは、施設に支払う費用と直結してくる部分がありますが、人気のある病院やクリニックは、そういったところのバランスがいい傾向にありそうです。
また安全なお産をすることを主眼に置いたシンプルな施設もあれば、入院期間にプロのエステやマッサージを受けられる施設、シェフの作る豪華な料理が用意されているような高級ホテル並みの施設など様々なものがあります。
ネットでの日時指定ができる予約システムを導入している産院は、待ち時間を短くしたい人にオススメです。
分娩にかかる料金は、施設によってかなりばらつきがあるため、事前に確認が必要不可欠です。他にも費用の面では、分娩予約の際にあらかじめ予約金が必要な施設だったり、個人都合でキャンセルする際は、キャンセル料が発生する施設があります。
また出産一時金は、直接支払制度に対応しているのかも重要なポイントになります。直接支払制度に対応していない施設の場合は、一時的に費用を全額支払わなければなりません。直接支払制度の有無も確認しておきましょう。
出産育児一時金の支払いは、会社に勤めていれば加入している健康保険組合から、夫の扶養に入っている方は夫の加入している健康保険組合、国民健康保険であれば各自治体になります。
産婦人科によっては、母親学級や両親学級などを開催しているところも多いです。他にも、マタニティヨガや腹帯指導などの様々な講座を開催している施設もあります。
また産後には1ヶ月健診だけでなく、ベビーマッサージや母乳外来、育児相談を受けつけている施設があります。理想の産婦人科は妊娠期間中だけでなく、産後のサポートがあるともっと安心できますね。施設のサポート体制がどうなっているかも、確認してみてください。
施設情報は、公式HPを見てみると、分娩方針や備わっている設備、中には雰囲気までわかるところもあります。他にも施設の特徴やサポート体制についても記載があったりするので、気になる産婦人科があれば、HPをチェックしてみてください。
可能であれば、その地域で小さなお子さんがいるママに話を聞いて、リアルな産婦人科の声を聞いてみるのもオススメです。最近は、そういったニーズのコミュニティも増えてきているので、ネットや各地域の掲示板などをのぞいてみてください。
もし同エリアに知り合いがいるのであれば、出産を経験した先輩ママに、産婦人科情報を共有してもらうことをオススメします。
気になる施設の口コミや評判は、インターネットで確認することができます。
口コミや評判は先生の印象やスタッフの対応、院内の雰囲気など、安心して通える産婦人科かどうかを見極める重要なポイントです。万全な状態で妊娠生活を送りたい人は、インターネットの口コミなどをよく確認して、自分の価値観に合う産婦人科を選びましょう。
出産できる施設の数は、沢山あるため迷ってしまうかもしれません。産婦人科選びは場所や費用、出産条件などすべての面で理想を叶えることはできないかもしれません。
条件を絞り迷うことがあれば、これだけは外せない価値観の部分(重要視するポイント)を照らし合わせていくと、産婦人科が絞れていくのではないでしょうか。
産婦人科は妊娠初期から出産、出産後のサポートまで長くお世話になるところなので、しっかりと見極めて自分に合ったところを見つけてみましょう。