孫への教育資金贈与がずっと非課税に。これで私たちの生活は変わるの!?
教育資金の一括贈与が特例から一般制度へ変更
教育資金の贈与に関する法律が、変更予定になりそうです。一言でいうと、「期間限定の特例が一般制度へ変更」になる見通しです。
期間限定「教育資金の一括贈与」の特例とは?
2015年4月に登場した「教育資金の一括贈与の制度」は、期間限定の特例制度です。税金がかからなくなる(非課税)メリットが大きく、また相続税対策にもなる魅力満載の制度です。具体的な制度内容は、以下4点です。
- 教育資金に限り贈与を非課税とする
- 贈与の上限は1,500万円まで
- 贈与は30歳未満の子供か孫に対して行う
- 2019年3月までの限定措置
贈与税のかからない教育資金とは?
特例は教育資金に対して、贈与をしても税金がかからなくなる制度ですが、「教育資金」とは何を指しているのでしょうか。
保育所等から国内外の大学院等までの間に生じる入学試験代や入学金、施設整備費、学用用品、遠足・修学旅行費、学校給食費、寮費等でその学校等に支払いが生ずる費用が該当します。
また500万円まで対象となる学校外費用は、学校指定業者等に支払う学校教材費(教科書)や学用品(制服)などのほか、PTA会費、レクレーションを目的とする以外の塾やスイミングスクール、自動車学校なども含まれ、それらに必要とされる物品購入費等も対象となります。
細かい部分を見てみると、寮費等は学外費用に含まれますが、下宿代や留学のための渡航費、滞在費などは適用対象外となるので覚えておいてください。
文部科学省HP:教育資金の範囲について
2019年3月末までの期間限定ではなくなった
2018年8月27日年文部科学省が平成31年度税制改正要望で、祖父母らが孫らに教育資金の一括贈与をした場合の贈与税の非課税措置について、恒久化を求める方針であることを示しました。2018年末に決定する与党税制改正大綱への盛り込みを目指すとのことです。
この特例は、信託口座を開設し、教育資金を預け入れ、入学金や授業料を引き出すという仕組みで、2019年3月31日までの時限措置となっています。
政府はこれを恒久措置とすることで、高齢者から若い世代に資産の移転が進み、同時に親の教育費負担を軽くすることができる。少子化が進む中、出産に躊躇(ちゅうちょ)する要因には将来の経済的不安がある。文科省はこうした不安を今後も軽減するため、恒久化を求める。
今後は30歳未満の年齢上限の引き上げも検討していく方針とのことです。
教育資金の一括贈与の注意点
1.30歳までに贈与額が教育資金の費消額を上回る場合
になって進路を決めるとき、「医師よりも歌手になりたい」という可能性は否定できません。
もし仮に贈与した1,500万円が、その子が30歳になるまでに使いきれず、残ってしまった場合は、使い切れなかった金額に対して贈与税が課税されます。1,500万円の贈与がそのまま残っている場合は、366万円の贈与税です。
世の中の平均像預金額は、約700万円前後とのことです。同制度の利用は、計画的に利用する必要があります。
2.教育資金の領収書を銀行に提出する必要がある
この制度の最も面倒な部分は、教育資金の領収書を提出しなければならないことです。
同制度の利用は、金融機関で教育資金専用の口座を開設し、教育資金として使った領収書をその金融機関に提出しなければなりません。金融機関とは銀行、信託銀行、証券会社をいいます。
3.贈与者が認知症の場合は利用できない
贈与者が認知症の場合は、この制度を利用することはできません。利用できない理由は、意思能力がなくなってしまっているためです。同制度を利用するためには、本人が健康で意思能力がある段階で実行する必要があります。
4.上限が1,500万円
お子さんにとって生存している場合は、祖父母は4人存在します。片方の祖父母から1,500万円の贈与を受けた場合は、もう一方の祖父母から1,500万円の贈与を受けることはできなくなります。
理由は、お子さん一人につき上限が1,500万円だからです。両方の祖父母から750万円ずつで、合計1,500万円の場合は問題ありません。
昔からある「教育資金の贈与制度」は非課税
知らない人が多いかもしれませんが、そもそも教育資金の贈与は非課税です。
国税庁のWEBサイトに記載
国税庁のHPには、教育費の贈与は非課税とはっきりと書いてあります。この制度は平成25年に始ったわけではなく、昔からこのように取り扱われています。
国税庁HP「No.4405 贈与税がかからない場合」より
2 夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
ここでいう生活費は、その人にとって通常の日常生活に必要な費用をいい、また、教育費とは、学費や教材費、文具費などをいいます。なお、贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。したがって、生活費や教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります。
「一括贈与の特例」は、昔からある教育資金の贈与と何が違う?
国税庁のホームページにも「なお、贈与税が・・・」と書かれている通り、教育資金(生活資金など)は、必要な額をその都度、孫や子に渡す分には税金がかかりません。それ以外の資金は、1人につき年間110万円の基礎控除の枠内であれば、贈与税がかかりません。
新しく設けられた「教育資金の一括贈与の非課税制度」は、文字通り一括して1人あたり1,500万円を上限に非課税として贈与することができます。
新たにできた「教育資金の一括贈与の非課税制度」と昔からある都度贈与を組み合わせれば、1,500万円以上の教育資金を非課税にすることもできます。
教育資金の贈与について覚えておくこと
- 教育資金贈与の非課税制度は2種類ある
※一括贈与と昔からある都度贈与 - 今すぐ必要な教育費は特例を使わなくても非課税
- 教育資金の証拠を残す必要がある
※お金の流れを明確にする
新たな税制改革は私たちの生活を良くしてるのか?
個人的に気になるのは、今回のこの税制改革は私たちが国民にどれだけの人に影響があるのかです。
少ない資金で苦しい生活をおくる年金受給者が圧倒的に多い中、今回の新たな制度の恩恵を受ける人はどんな人なのでしょうか。誰もが想像できることですが、一部の裕福な家庭(官僚など)だけなのではないでしょうか。
国会議員が国会で時間をかけ、新たな税制改革を行ってはいるが、その恩恵を受けれる対象者はお金持ちだけ(官僚など)なのはいかがなものでしょか。
今の課題は、祖父母から援助が無い共働き夫婦のための新たな政策です。それができないと私たちの生活は何も変わりません。官僚の方には、優先順位高めで対応をお願いしたいものです。
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