セルフメディケーション税制で医療費節約。市販薬購入で税金が戻る
2017年1月から新たな医療費控除がスタート
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)とは?
2016年12月までの医療費控除制度は、医療費の自己負担金が10万円を超えたときにしか適用されませんでした。しかし2017年1月1日以降、新たに医療費控除の特例が適用されるようになりました。
コンビニやドラッグストアなどで販売されている「スイッチOTC医薬品」を購入し、年間購入額が12,000円を超えた場合、超えた分の費用が控除される制度です。※上限金額は100,000円まで。
スイッチOTC医薬品とは?
OTC(オー・ティー・シー)医薬品とは、Over the Counter(オーバー・ザ・カウンター)の頭文字で、小売店などでカウンター越しに買うことのできる薬をさしています。それらの薬は、医師の処方箋がなくても買うことのできる医薬品です。
OTC医薬品の全てが、セルフメディケーション税制の対象ではりません。対象の医薬品は、副作用が少ないなどの理由から選ばれた一部のOTC医薬品です。それらを「スイッチOTC医薬品」と呼びます。
セルフメディケーション対象の医薬品
セルフメディケーション対象の商品には、このようなマークがついています。
ただ紛らわしいことにマークがついていない商品でも対象のものがあります。
※セルフメディケーションのマークは、法律的に義務ではないため。
店舗で購入の際は、スタッフに確認した方が良さそうです。
ただもっと紛らわしいのは、同じ商品名でも対象になるものとならないものがあるので要注意です。例えば、「バファリンルナi」はセルフメディケーション対象ですが、「バファリンA」は、同制度の対象になっていません。
- 鎮痛薬:「ロキソニンS」
- 抗アレルギー薬:「アレグラFX」
- 胃薬:「ガスター10」
- 禁煙:「ニコレット」
- 風邪薬:ベンザブロックIPプラス
- 湿布:「フィタスシップ」
- 頭痛薬:「バファリンンルナi」
セルフメディケーション税制の対象者
上記でも説明した通り、セルフメディケーション税制はスイッチOTC医薬品を年間12,000円超えた場合に限り、かつ以下2つに当てはまる人が対象者になります。
所得税・住民税を納めてる人
通常の医療費控除と同様です。所得税や住民税を払っていない人は、対象となりません。
健康の維持増進や疾病の予防の取組み行っている人
具体的には以下のいずれかに当てはまっている人が対象です。
- 定期健康診断(事業主健診)
- 予防接種
- 健康診査
- 特定健康診査(いわゆるメタボ検診)
- がん検診
セルフメディケーション税制の節税効果は?
最大88,000円の所得控除
年間100,000円までが上限です。このうち12,000円分は対象になりません。
100,000円-12,000円=最高88,000円まで所得控除
88,000円がそのまま節税になるわけではなく、所得控除できる金額に対して税率を掛けた金額が実際の節税額になります。
所得税は、5~45%まで、その人の収入状況によって異なります。一般的なサラリーマンの場合は、5~20%が相場です。住民税は一律10%なので、合わせると約15~30%ぐらいです。
実際の節税効果
- 所得税率5%の人:最高88,000円×約15%=13,200円節税!
- 所得税率10%の人:最高88,000円×約20%=17,600円節税!
- 所得税率20%の人:最高88,000円×約30%=26,400円節税!
日本一般用医薬品連合会「知ってトクする セルフメディケーション税制」では、具体的な計算ができるようになっています。
スイッチOTC医薬品の購入費用は「家族の分」OK
スイッチOTC医薬品の購入費用は、配偶者や子ども、両親などの親族の分も含めて大丈夫です。自分の子どもが、東京の大学に行って一人暮らしをしていて、仕送りしている場合も該当します。そこで一人暮らしをしている息子が買ったスイッチ医薬品も対象になります。
「通常の医療費控除」との併用は可能?
「セルフメディケーション税制」と「通常の医療費控除」の併用はできません。いずれか一方を選んで利用するかたちになります。
通常の医療費控除は、病院での治療費や薬代などが対象です。交通事故での入院や歯医者の高額治療をした場合は、通常の医療費控除の方が有利になる可能性が高いかもしれません。
医療費が10万円満たない場合は、スイッチOTC医薬品の購入費用を計上し、年間12,000円を超えれば、セルフメディケーション税制を利用するといいかもしれません。
セルフメディケーション税制の手続
年末調整で手続きができる?
年末調整ではできません。
対象となる期間
2017年から2021年12月31日までの期間
※この特例は、2017年度分の確定申告から適用できます。
確定申告はいつのタイミング?
2017年度分のセルフメディケーション税制の申請は、2018年の1月1日以降に自分で確定申告しなくてはいけません。その際スイッチOTC医薬品を買った領収書は必須です。確定申告書と一緒に税務署に提出します。
領収書(レシート)の確認事項
- 商品名
- 金額
- その商品がセルフメディケーション税制の対象商品である旨
- 販売店名
- 購入日
セルフメディケーションはみんなの役に立つの?
セルフメデュケーション税制は誰のための法律なのでしょうか。
風邪を引いたりして病院で治療を受けている人には、今回の制度は全く意味がありません。コンビニやドラッグストアなどで医薬品を買っている消費者はどれくらいいるのか疑問が残ります。どれくらいの人がそれを必要としているのでしょうか。
また通常の医療費控除と併用ができない点も気になります。「通常の医療費控除」と「セルフメディケーション税制」でカバーする医療費控除の領域が違うのにもかかわらず…。
同法律の目的は、日本が超高齢化社会に向かうにあたり、医療に携わる人材不足を解決するためです。それをセルフメディケーション税制などとうたい、国民のための税制改革としていることに苛立ちを覚えます。
みなさんはどう思いますか?
医療需要の増大をできる限り抑えつつ、「国民の健康寿命が延伸する社会」を実現するためには、国民自らが 自己の健康管理を進めるセルフメディケーションを推進することが重要。
日本再興戦略(平成25年6月14日)では、薬局・薬剤師を活用したセルフメディケーションの推進が盛り込ま れており、いわゆる社会保障改革プログラム法でも、個人の健康管理等の自助努力が喚起される仕組みの検討を行 うこととされている。
さらに、本年6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2015では、「個人の健康管理に係る自発的 な取組を促す観点から、セルフメディケーションを推進する」とされている。
一方、現行の医療費控除制度は自己負担額が10万円を超えない場合には対象とならないため、要指導医薬品及 び一般用医薬品を用いてセルフメディケーションに取り組んでも、医療費控除の対象外となる場合がある。
厚生労働省「セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設 」より
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