3Dテレビ販売終了の2つの理由。子どもを持つ親には良かったかも

ユーザーは3Dテレビじゃなく、4Kテレビを選んだ

3Dテレビ(3次元テレビ)

2009年12月公開された「アバター」が、3D映画として記録的な大ヒットし、いよいよ映像が3Dにシフトすると家電業界をはじめとする業界では考えられていました。しかし、実際は2017年に姿を消すことになりました。

なぜ3Dテレビは、4Kや8Kテレビのように拡大路線を進めなかったのでしょうか。

3Dテレビの歴史

世界中で発売開始

3Dテレビは、韓国のサムスン電子が2010年2月に世界で初めて発売開始しました。その後を追うように世界中のメーカーが生産し、販売をスタートしました。

日本で初めてとなる3Dテレビは、2010年4月下旬にパナソニックから発売されました。先を越されたソニーや東芝、シャープなどのメーカーも続いて販売をはじめました。

2012年ロンドンオリンピック

オリンピックイヤーは、テレビの買い替え需要が一気に高まるタイミングで、2012年ロンドンオリンピックのときも同じでした。3Dテレビは、このロンドンオリンピックをピークに失速しました。

2013年にはスカパーの3D放送が終了、日本だけでなく世界中の放送局で同じ動きになりました。そして2015年5月には、最後の砦となったイギリスの衛星放送局が放送を終了し、3D放送は終わりました。

静かに生産終了

世界シェアトップのサムソンが、2016年に3Dテレビから撤退を発表。2017年には、アメリカで50年続く家電製品展示会で3Dテレビ関連の新製品の発表はありませんでした。事実上3Dテレビの生産は、ここで終わりました。

3Dテレビが終わった2つの理由

1)技術的に難しかった

今の3Dテレビを見る技術では、視聴するために専用のメガネが必要です。

3Dテレビの仕組みは、視点の異なる2種類の映像を合成し、立体映像を作り出します。その映像は、専用メガネをかけることで、左右の目に2種類の映像が高速で交互に映し出され、私たちの目にはそれが立体的に見えるようになっています。

メガネ装着の煩わしさは、当時から「3Dテレビ普及の大きな課題」とされていましたが、それが致命的だったようです。メーカーからは、専用メガネ無しで映像が立体に見えるテレビも発売されましたが、ユーザーの支持を集めることはできませんでした。

2)4Kや8Kテレビが選ばれた

ハイビジョン化、デジタル放送(地デジ)、オリンピックやワールドカップ、増税などテレビの買い替え需要が高まるタイミングはいくつもありました。そして新しい4Kや8K、3Dテレビなど次々と新しいテレビが発売されました。

消費者の選択には「高画質の4K」と「立体映像の3D」の2種類がありました。そして機能や価格、口コミなど総合的に判断した結果、選ばれたのは4Kテレビがでした。3Dテレビが選ばれなかったのは「消費者ニーズがなかった」からの一言に尽きると思います。

専用メガネ以外の3Dテレビの問題点

3Dテレビは、専用メガネをかけてじゃないと視聴できない以外にもいくつか注意点や問題点があります。小さなお子さんがいる家では、3Dテレビの視聴には注意が必要です。

1)適切な位置で視聴

3D映像は正面からの見ることを想定して作られています。両目がテレビの表示面に対して斜めになっていると、映像がうまく立体的に見えません。

説明書の「適切な位置」については、テレビ画面からの距離と角度が記載されています。画面の高さの3倍離れた距離で、正面からみるようにとのことです。

それよりも近くで見た場合は視差角が大きくなり、遠くから見ると視差角が小さくなり、斜め方向から見るとひずみが大きくなり、適切な立体像が見れず、疲労や酔いの原因になる場合があるそうです。

例えば32インチの3Dテレビの場合は、高さが約40センチなので、120センチ離れて真正面から見るのがベストようです。

2)子どもは注意する

小さな子どもは立体視機能が十分に発達していないため、両目の間隔が大人と異なることから、視聴する場合は長時間見ないようにする大人の適切な管理が必要です。

子どもの目の機能は、5~6歳まで未熟な状態です。大人と同じ視覚機能を持つまでには、12歳前後までかかります。赤ちゃんに限っては、左右の目で見た映像をひとつの映像にする「立体視」の機能を日常生活の中で自然に訓練しています。

その時期に3Dテレビの仮想の空間を眺めても、赤ちゃんは目の訓練にはなりません。そもそも赤ちゃんが見るための専用メガネはありません。

3)疲れたら視聴ををやめる

立体観察による眼精疲労や不快感の自覚症状には以下のような症状があります。3Dテレビの注意書きには、これらの症状を感じたら視聴を中断しましょうと記載されています。

  • 目が疲れる
  • 二重に見える
  • 目が乾く
  • 頭が痛い
  • 肩がこる
  • 背中が痛い
  • 吐き気がする
  • めまい
  • 酔う

子どもがいる家庭では、もっと3Dテレビの開発が進んでからの方がいいのかもしれません。これまで販売されていた3Dテレビは、未完成といっていいのではないでしょうか。

なぜ、こんなに注意書きの多いテレビが販売されているのかが、私には不思議でたまりませんでした。次は子どもに安全な3Dテレビが開発されるといいですね。