はちみつを食べると赤ちゃんが危ない。乳児ボツリヌス症とは?
乳児がはちみつを食べると死ぬ可能性がある
乳児ボツリヌス症により生後5ヶ月の乳児死亡
2017年4月7日衝撃のニュースがネットに流れました。生後5ヶ月の乳児が、ハチミツを混ぜた離乳食を摂取したところ、「乳児ボツリヌス症」になり、国内で初めて亡くなったと発表されました。
健康食品としても人気のはちみつですが、1歳未満の赤ちゃんに食べさせてはいけない食品の一つです。もし知らなかったというママやパパがいたら、取り返しのつかないことになるのでしっかり覚えておいてください。
ボツリヌス症とは?
ボツリヌス菌と呼ばれる「ボツリヌス毒素」によって起こる食中毒です。ボツリヌス毒素は、神経を麻痺させる効果があります。
空気のあるところでボツリヌス菌は、「芽胞(ガホウ)」と呼ばれる、いわゆる冬眠しているような状態になります。芽胞の状態になると、100度の温度で15分加熱してもしなないものもあるようです。
※120度で4分間以上加熱すると殺菌可能
芽胞は水分のない乾燥状態でも、死滅しません。芽胞の状態で生き延びた菌は、酸素が少なくなると菌は芽胞状態から脱して、発芽します。そして増殖し、毒素が発生し始めます。
4種類のボツリヌス症
ボツリヌス食中毒(食餌性ボツリヌス症)
食材に含まれるボツリヌス菌と菌から出た毒素を摂取して起こす症状
乳児ボツリヌス症
ボツリヌス菌の芽胞を摂取することで、1歳未満の乳児の腸管で芽胞から発芽し、増殖して、発生した毒素を吸収して起こす症状
創傷性ボツリヌス症
土壌に含まれるボツリヌス菌が傷から侵入して、芽胞から発芽し、増殖して、発生した毒素を吸収して起こす症状
腸管感染毒素型ボツリヌス症
大人に起こる乳児ボツリヌス症と同じで、ボツリヌス菌が定着して、芽胞から発芽して、増殖して、発生した毒素を吸収して起こす症状
乳児ボツリヌス症から赤ちゃんを守るために
はちみつ以外の食べ物からの事例
生後2週間は、母乳の成分によりボツリヌス菌が腸内にとどまることはありません。その後1歳までは、腸内細菌の構成のために、ボツリヌス菌が腸内にとどまりやすくなります。大人と違い乳児は、はちみつの摂取により、毒素が体内中に回ってしまうことがあります。
日本では初めて乳児の死亡事故が起きてしまいましたが、乳児ボツリヌス症の症状は確認されています。アメリカでは、1976年~2006年までに2,419症例が報告されていて、その0.8%にあたる20例が死亡しています。
乳児ボツリヌス症の原因は、まだわからないことも多く、はちみつ以外の食品にも注意が必要です。1997年に日本で自家製野菜スープが原因とされるのが1件ありました。
また帝京科学大学の教授は、黒砂糖や井戸水にも関係があるかもしれないとのことです。「黒砂糖は非常に高い温度で作られるため、ポツリヌス菌が生き残る可能性は低いが、念のため抵抗力の弱い赤ちゃんには黒砂糖も与えないようにした方が安全」とのことです。
ボツリヌス症の予防法
乳児ボツリヌス症を防ぐには、何よりも芽胞で汚染されている可能性のある食品を食べさせないことです。1歳未満の赤ちゃんには、はちみつやコーンシロップ、自家製の野菜スープやジュース等は与えないようにしましょう。
万が一、赤ちゃんがはちみつを食べてしまったら
120℃で4分間以上しっかりと加熱処理されたはちみつなら、まず大丈夫だと言われています。でも、もし赤ちゃんが加熱処理していないはちみつをなめてしまったら、すぐに医療機関を受診しましょう。
何才になると乳児ボツリヌス症のリスクが低くなる?
消化機能の未発達な乳児は、いつになったら大人と同じように食品を食べることができるようになるのでしょうか。
生後5~6ヶ月ごろから離乳食がはじまり、段階を踏んで1才6ヶ月ごろまで続きます。その後は幼児食に変わりますが、この段階では大人と同じものを食べる消化機能は備わっていません。肝臓や腎臓などの内臓機能がある程度成熟するのは8才以降です。
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